ミュージカル『アルジャーノンに花束を』(2023/4/29 ソワレ)の感想です。
ダニエル・キイスの小説が原作の本作品。
観劇中は、冒頭の数十分を除いてほぼ眉間にシワをよせて観ていました…😅
重い…重すぎる……
でも、浦井健治さん演じるチャーリー・ゴードンは、素晴らしかったなぁ。
ミュージカル『アルジャーノンに花束を』感想
昨日(4/29)に観劇したばかりの、ほやほやの感想を書き綴ります。
↓ 東京千秋楽の感想はこちら ↓
ミュージカル版を観る前に、原作を読んでおこうと思い読了しています。
小説を読み終えた後は、なんとも言えない感情に。
残酷な結末。
「どこに救いを求めればよいのか」
「なぜこんな結末なのか」
しまいには「なんでこんな作品を書いたのか」
など怒りに近いとも言える感情が…😅
なんとも後味の悪い感想しか持たなかったです…
フィクションであることは分かっているけどさー
そして昨日の観劇後も、小説を読んだ後と同じように、心がずしんと重くなるような感覚。
インタビューで浦井くんが語っていたとおり。
ほんと共感です。
「この作品は、人間を描いているんじゃないかな」と思っています。
〈中略〉
そういう意味では人間の性(さが)が見て取れるような作品でもあると、自分は思っています。
引用元:「夢は叶うんだなと」、ミュージカル『アルジャーノンに花束を』浦井健治(下) | アイデアニュース
「演劇的な作品だ」と感じました。差別だったり、人間のエゴだったり、人体実験という言葉だったり、みんなが問題視していることが、胸に刺さる作品だなと思っています。だから演劇的だなと思ったんです。
引用元:「ひりひりした感覚」、ミュージカル『アルジャーノンに花束を』、浦井健治(上) | アイデアニュース
人間のドロドロした汚い面や、直視したくないような部分の正直な描写。
さらに物語の大部分が、何も悪くないチャーリーが苦悩する姿を描いています。
これが見ていてしんどい。
そして、IQが低いときのチャーリーが、一番純粋で美しいことに気づく…
人間は、知能を得たことで余計なものまで手に入れてしまったんだなーと。
さて、観劇の感想。
まずは浦井くんの感想です。
浦井健治さん演じるチャーリー・ゴードンは、小説の中から飛び出てきたように、まさにチャーリーそのものでした。
浦井くんがチャーリーを演じるのは9年ぶり、3度目とのことですが、私がこの作品を観るのは初めてです。
そして「浦井くんが演じたらこんな感じだろうなー」という、まさに予想していた通りのチャーリーでした。
幕が開いてから数十分のチャーリー、本当に愛らしい😊
そして障害のある役が、なんとも自然😳
(浦井くんの実年齢忘れるわー)
最初から最後まで、熱演です。本当うまいなー。
(気力、体力、かなり消耗するだろうなー)
歌は、高音も低音もよく響いていて、抜群の安定感。
毎回のことながら、もっと聴きたい!聴き足りない!と思わせます🤩
いちばん印象的だった歌は、ニーマン教授たちが「思っていたより無能だ」と気づいたときの曲。
難解な曲調だったのだけど、浦井くんはどんな歌でも自分のものとして歌い上げるのです😳
滑舌の良さも相変わらずで、まくしたてたり、感情が溢れ出たり、難しい言葉の長いセリフをよくもまぁ噛まずにハキハキと喋れるものだと感心。
早口過ぎてこちらの耳がついていかないところもあったけど…😅
衣装も、賢くなったチャーリーはシュッとしたジャケットやスーツ姿。
長身の浦井くんがまたカッコイイ!🤩
この辺は目の保養に🥰✨
そんなチャーリーを優しく包み込むアリス・キニアン。
アリス・キニアン役の北翔海莉さんも素敵でした。
包容力や母性、愛情の深さ、チャーリーの知能の変化とともに生まれる心の葛藤など、うまく表現されていて自然と感情移入。
歌も素晴らしかったです。
フェイ・リルマン役の渡来美友さんも良かったです。
原作のイメージどおり、個性的で自由人。
そして、アルジャーノン役は長澤風海さん。
ミュージカル「キングアーサー」ではオオカミ役で、素晴らしいダンスを見せてくれました。
今回も、表現豊かなダンスに魅了。
今回はセリフあり!
チャーリーとの息もぴったりで、途中、チャーリーがしゃべっているのか、アルジャーノンがしゃべっているのか分からないくらいだった😳
東山義久さんは、歌うときの声があまり出ていなかった印象でした。
初めて拝見したので、不調だったのか?キーが合っていなかったのか?はわからないけど。
2幕の最後の方、東山さんの歌の後ろでキャストが表現するシーン、もうちょっと歌の迫力がほしかったな。
クライマックス、ちょっと物足りなかったかなー。
二―マー教授役の大山真志さん、印象強く残っています。
声も良かったし、存在感ありました✨
+++————————————-+++
チャーリーが賢くなることでアリス・キニアンとの関係性をはじめ、チャーリーを取り巻く環境が大きく変化していき、結末は誰も幸せにならない、というストーリー。
こんな人体実験のような手術をしなくても、チャーリーは十分周りから愛されていたのだ。
でも、母親の影響が大きかったんだろうな。
「賢くなれば、周りに認められる」と思い込んでしまった。
チャーリーは、最後までアリスが好きだった。
フェイとは恋人関係になったけど、アリスへの思いは別物だった。
それは、アリスに理想の母親像を抱いていたのかもしれない。
母親の存在の大きさを感じる😭
これは、小説を読んだときには感じ取れなかったことだけど、舞台を観てそう感じました。
そして、キニアン先生(アリス)がチャーリーに言った最後の言葉「賢さを失ったけど取り戻したもの」。
チャーリーの、あの屈託のない笑顔。
チャーリーは、いつもみんなの前で笑っていた。
でもそれは恥ずかしいことではなく、周囲に媚びて愛想笑いしているわけでもない。
赤ちゃんが自然とそうするように、人間の本能で笑顔を見せて人に愛されようとしているんだ。
そして、パン屋の同僚たちもチャーリーを小ばかにしているように見えるけど、仲間だと思って可愛がっていたんだよね。
原作では、後半にチャーリーの知能が後退していく中で、チャーリーがパン屋に戻ったとき、いじめられたチャーリーをギンビーらは助けている。これは舞台では描かれていないシーン。
チャーリーは「賢くなれば友達がたくさんできて、周りの人は自分を好きになってくれる」と信じていた。
でも、実際はそうではなかった。
離れていく人を目の当たりにした。
そう、賢くなってからのチャーリーからは、あの笑顔が消えていた…
アリスの言葉で気づかされた場面でした。
こんな感じで、舞台だからこそできる表現や伝わってくるものもあって、文字を目で追うのとは違う感覚を得ることができたのも事実。
ただ原作を知ってるだけに、2時間半ほどの舞台で、作品の全てを表現するのは難しいのかな、と少し物足りなさを感じたりもしました。
また、このミュージカル『アルジャーノンに花束を』は、耳馴染みがいい音楽が少ない印象です。
人間の複雑な心理などを表現するが故なのかしらーなんて思ったりもしますが。
難解な音楽が多いこともあって、1度観ただけで全部を理解しにくいかもしれません。
これが、もっと分かりやすい音楽やストーリーだったらまた違う印象だったのかもね。
たとえば「ノートルダムの鐘」みたいに。
物語をより深く理解するには原作を読んでみることをお勧めします。
いろいろと考えさせられる作品です。
個人的には、読んでいてしんどくなる作品ですが…
カーテンコールは4回登場!
浦井くんは深々とお辞儀して笑顔で手をブンブン振っていました😄
最後には舞台の中央に向かって。
その笑顔見れただけでも満足!お疲れさん!
そして、カテコで改めて気付かされたキャストの人数!
たった9人でやってたのね〜。
皆さんのパワーと表現力、素晴らしかったと思います。
浦井です!
— 浦井健治&STAFF (@Kenji_Staff) 2023年4月27日
アルジャーノン、いよいよ、初日です!
みんなで作ってきた初演からの繫がり。荻田さん、スタッフさん、役者陣。そして、森新吾。今回versionの信頼する役者みんなとの創作。大切な時間を過ごせてます。森新吾と、かざみんを通して、会えている気がしてます。
ね!リーダーよしくん! pic.twitter.com/8v8FSv2wQs
浦井です!
— 浦井健治&STAFF (@Kenji_Staff) 2023年4月27日
舞台上で、新吾に、会えた気がしました。
舞台は、繋がっていく。繋がっている。そんな気がしてます。#アルジャーノンに花束を pic.twitter.com/BYMF0t91aL
このシーン、大きく心揺さぶられました。
キャスト・公演情報
【キャスト】
チャーリー・ゴードン:浦井健治
二―マー教授 / ギンビー:大山真志
アルジャーノン:長澤風海
バート:若松渓太
ノーマ(チャーリーの妹):大月さゆ
ノーマ(チャーリーの妹・幼少期):藤田奈那
フェイ・リルマン:渡来美友
ストラウス博士 / ドナー / チャーリーの父:東山義久
アリス・キニアン:北翔海莉
【スタッフ】
脚本・作詞・オリジナル演出:荻田浩一
演出・振付:上島雪夫
音楽:斉藤恒芳
【日程】
2023年4月27日(木)~5月7日(日)
東京都 日本青年館ホール
2023年5月13日(土)・14日(日)
大阪府 COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール
【上演時間】
2時間45分(休憩20分含む)
ミュージカル『アルジャーノンに花束を』公式ホームページ | 2023年公演
座席(日本青年館ホール)
2階の最前列、上手のセンター寄りの席。
こちらのホール、2階でもかなりの高さがある印象。
ステージは見下ろす感じで、1列目でも遠いです。
オペラグラス必須!
1階のN列、O列の真上あたりが2階の1列目くらいかな。
ただ、上から観ることでダンスのフォーメーションやキャストの動きは全体が見えて良かった面もあり。
特に、1幕の冒頭、アルジャーノンと迷路の対決をする場面の演出は素敵でした~。
どうやって描くのだろう?と気になっていた部分。
また、舞台を上下に分ける使い方が多かったので、全体を捉えることができたのも良かったかな、とは思います。
でも、ステージまでの距離、遠かったなー。
そして、椅子の座面が高い!
足が床につかないので、疲れたー😓
どこの劇場よりも高いのでは?
欧米仕様??
足長い人にはいいかもだけど~😅
ちなみに、前にある落下防止のバー(手すり)で、舞台の前方が若干隠れます。
背の低い人は邪魔になるかもです。
1階のロビーは少し狭い感じで、上演前も休憩中も混雑。
物販の列が通行の妨げに💦
スタッフの大きな声(案内&誘導のため)も、なんか落ち着かないし騒がしい。
品のなさを感じたりもした…
後方席はガラ空き状態だったので、満席だったらどれだけ混むのかしらー。
数は少ないけど小さいコインロッカーありました。
トイレの数は問題ないかと。2階の方が空いていました。
【追記】2023年5月7日の千秋楽を観劇して
やはり、1度観ただけでこの作品を理解するのは難しいと思いました。
千秋楽を観劇して、セリフの一言一言や役者の表現、メロディ、歌詞など、全てがうまく調和していて、いろんなところから伝わってくるものがたくさんあった。
うまく表現できない…😓
千秋楽の感想はこちら(↓)で熱弁しています!
浦井くん、熱かったなー。すごかったなー。いやー、惚れ直しましたぜぃ🤩